恋〜彼と彼女の恋愛事情〜


土曜日俺たち兄弟は、水族館の入り口より少し離れたところで純が来るのを待っていた。

時間は9時50分、待ち合わせより10分早く着いた。

舜が興奮して家を早く出たからだ。

「純ちゃんてどんな人?」

待ってる時間に話をする。

・・・もう名前で呼んでやがる・・・。

「あ~、ちょっと天然入ってる・・かな。小さいし童顔だから兄弟と間違えられるかもな」

「ふぅ~ん」

そういえば、どことなく舜に似てる部分があるんだよな。

そんな事を話してると

「おはよう」

と、声をかけられた。

「またせちゃった?」

・・・誰?・・・!

純だ・・・俺だって名前で呼びたいんだよ。

眼鏡かけてなくて、肩より少し長い髪はゆるく巻いてある・・・すっげえ可愛い!!

ヤバイ・・・抱きしめたい・・・。

「沢田君?」

純の声にハッとする。

「弟の舜」

「川上 純です。今日は来てくれてありがとう」

丁寧に挨拶する純が可愛くて・・・あ~、やっぱ、舜連れてくるんじゃなかった・・・。

ちょっと後悔してたり。ハハッ。


「沢田君」

と呼ばれ

「「なに?」」

返事をすると、舜と声がかさなった

「名前で呼んで」

そう言ったら、明らかに動揺している・・・。
ププッ、おもしれぇ。

・・・でも

「あ、暁君と舜君」

純の呼び方にムッとした。

何で俺も舜も君付けるんだよ。

「俺のことは暁って呼んで。俺も純って呼ぶから」

そう言ったら、みるみる赤くなる純の顔。
プハッ、なんだよその素直な反応・・・そう思ってたら

「純ちゃん可愛い~」

舜に先をこされた!
しかも、おれは純ちゃんて呼ぶねーとか言いながら、ニヤニヤしやがって!

・・・やっぱり連れて来なけりゃ良かったか・・・。





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