恋〜彼と彼女の恋愛事情〜
「あ、うん」
畜生、聞きそびれた。
「純ちゃん、兄貴ゲームしようよ」
またか・・・。
「なにやるんだよ」
「3人いるんだから、もちろん桃太郎電鉄!」
得意げだな、こんなところは普通の小学生なんだけどな。
「私、やったことないよ?」
「あー、すごろくゲームだから簡単だよ」
舜がニヤッと笑う。・・・悪い顔しやがって。
「やだぁ!ぼんびー付いた!!」
「あはは、純ちゃんぼんびー」
なにげに夢中になってない?
ぼんびー。
「ぼんびー付いた人は、話すときも『ぼんびー』って言ってから、最後は『~ねん』で終わらせるんだよ」
とんでもないこと言ってるな、舜。
「え!?そうなの?」
俺を見るな。
・・・でも面白そうだからやってもいいかな。
「そうだよ」
「!・・・わかった。やってみる」
やらなくていいよって言われたかったんだろうな。
・・・かわいそうに・・・。
「あ!ぼ、ぼんび~、お金がマイナスになっちゃった・・・ねん」
ぷっ。ぼんび~とか、笑える。
そうだ。
「純、何かのむ?」
サイコロを純が振る番になってわざと聞いてみる。
「あ、うん」
「純ちゃん、『ぼんび~』が付いてないよ」
「!・・・ぼんび~、紅茶がのみたいのねん」
「プッ、くくくっ・・・ダメだ。・・・あははは」
腹いてぇ。舜も大笑いだ。
「ぼんび~、ひどいのねん」
もう、やめてくれ、笑い死ぬ。
俺たちが悪かった。
「ぼんび~暁につけちゃうのねん!」
え?は!?・・・ま、まてやめろ!
あああああ!俺にぼんび~キタ!
その日の夜は部屋で「ぼんび~」の声が響いていた。