恋〜彼と彼女の恋愛事情〜


私だまされてたの!?

デートもキスもゲームの条件?

早瀬君と成宮君と私が暁にひかれていくのを笑って見てた?

・・・ひどい・・・ひどいよ・・・。

言ってくれた言葉も、過ごしてきたことも全部嘘だったの?

また・・・だまされた・・・?


『すきすきオーラ全開なのに?』


ふと舜君の言葉が脳裏をかすめた。

・・・違う。

・・・違う!

暁は人を騙すような人じゃない・・・。

彼が言ってくれた『ありがとう』も『ごめんな』も本当だった。



「あの・・・暁?」

声を出すと涙があふれそうになる。

「・・・うん?・・・なに?」

言葉が優しいよ。暁。

別れる相手にそんな優しい話し方・・・ダメだよ・・・。

本当は好きでいてくれるんじゃないかって期待しちゃうよ。

「その・・・付き合ってる1ヶ月間に・・・嘘はなかった?」

少しの沈黙の後

「うん、なかったよ。・・・嘘なんてひとつもなかった」

優しい暁の声。

・・・良かった。

ありがとう暁。


「・・・わかった」

「え・・・?」

最後に笑顔でお別れを言うんだ。

私はこぼれそうな涙を必死に我慢して

「・・・今まで、ありがとう・・・暁」

精一杯の笑顔でお別れを言った。


お弁当を片手に私は階段に向かった。

「純!」

後ろで暁の声がした。

体はビクッと反応したけど、振り返らず階段を下りた。

だって振り返って暁をみたら、きっと抱きついちゃう。

「別れたくない」って我侭を言ってしまう。

暁を困らせてしまう・・・。











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