恋〜彼と彼女の恋愛事情〜


私は教室に戻ると鞄に教科書を入れて、学校を出た。

本当は未那に話を聞いてほしかったけど、教室にいなかったし。

未那を待ってると、暁が戻ってきちゃう・・・顔を見るのも、声を聞くのも今はムリ。

もう何も手に付かない。今にも泣きそうな自分を抑えて家へ向かう。

自分の部屋に入りベッドに横になると、自然に涙があふれてきて・・・どんどんどんどん溢れてきて・・・・・

「うっ・・・えっ・・・うえっ・・・・うくっ・・・なんでぇ・・・・」

布団を握り締めて泣いた。

暁・・・暁・・・・・。

大好きだよ・・・。

優しい笑顔も、悪戯っぽく笑う顔も。

頭をなでてくれる仕草も。

水族館で初めて繋いだ手の暖かさも。

抱きしめられたぬくもりも。

優しいキスも・・・忘れるなんて出来ないよ。

分かってたはずなのに。

最初から別れることは分かってたはずなのに・・・。

暁を好きになりすぎて。

もう、どうしていいか分からない・・・。


泣きつかれて眠ってしまったみたいで、気が付いたら夜中の1時を回っていた。

携帯を見ると、未那からの着信とメールが沢山きていた。

・・・暁からは1件もない。

「・・・本当に、終わっちゃったんだ」



重い体を引きずってお風呂に入った。

湯舟につかりながら思うのは暁の事。

思い出すと涙が溢れてくる。

何度も何度もお湯で顔に流れる涙を洗い流した。


ベッドで横になり、携帯をみる。

未那から送られてきたメールの後に、昨日までの暁からのメールがある。

いつの間にか朝と夜の挨拶メールをするようになっていて。












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