ご機嫌斜めな恋愛事情
『姉ちゃん、歩くの遅いって…』



さっきまで俺の隣を歩いてたくせに、



いつの間にかもういなくて、



振り向いた後ろには、



小走りで俺に駆け寄る姉ちゃんの姿。



『エイトが速すぎなんだよ~』



『…たく、鈍くせぇなぁ』



こういうとこも可愛かったりするけど……



……なんて思うなんて絶対言えねぇけどな。



俺にとって、朝のこの道のりは、



何よりも、どんな時よりも穏やかになれる、



そんな時間だったりするんだ。



歩きながら俺は心の中でいつも思う。



あと少し、もう少しだけでいい、



このまま二人で歩かせて……ってさ。
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