ひととき
先生
「先生ってかわいそう。」
「どうして?」
「だって、子供たちに尽くしても結局嫌われちゃうこともある。」
「確かに。」
「何より、相手にするのは子供だけじゃなくなってる。」
「親御さんもいろいろと心配なんだよ、きっと。」
「それでも教師を目指すって言うの?」
「あぁ、多分ね。」
「あなた変わってるのね。自ら精神病になりたがってるみたい。」
「僕はそこまで自虐的じゃないよ。人の成長過程に興味があるだけ。」
「そんなこと言ってられるのも今のうちだけよ。きっと五年も勤めたら『コイツらが考えてることは自己陶酔とどうでもいい噂話だけだ!成長してるのは外身だけだ!』なんて思えてくるわよ。」
「そうならないことを願っておくよ。」
「嫌でもそう思っちゃうわ、きっと。」
「なら、そのときは君に相談する。」
「任せて。あなたが赤ちゃんみたいに泣きわめいていたって、私はあなたを慰めてあげるわ。『おー、よちよち。泣かないで坊や。』ってね。」
「それは心強い味方だな。お願いするよ。」
「もちろん。」