ウラコイ
「神田さん。」
はぁはぁ息を切らしてやってきた
ポスターで見た 私の彼氏の人
黒い帽子を深くかぶっていた
「……ぎりぎり間に合った…。」
「あの……、」
相当走ったのか中々話せなかった
「……アメリカに行くんだろ。…」
ふっと 私の首にマフラーを巻いてくれた
「行ってらっしゃい」
ツンと 涙が出そうになる
「……何も聞かないんですね。神田さん…」
「聞きたくないだけだよ、今の言葉も…」