ウラコイ
「じゃあ今日はこれで、」
編集室を出ると名前を呼ばれた
「……あ、兄貴っ!?」
「久しぶり、ちょっといいか?」
シネマ授賞式前と
変わらない態度が
少し不安になった
「あぁ、」
「……みっちゃんの事は大体整理つけたから心配すんな。」
「……あぁ、」
タバコを吸いながら
兄貴は言った
「……いま、アメリカにいるらしいな。甲斐田から聞いたよ」
「…そうだよ。」
「いま記憶喪失なんだな…。みっちゃんは、母さんも気に病んでたよ。」
ただ頷くしかなかった
「お前も平気じゃないだろ?仕事はしてるけど…。」
「………」
「最近夢見るんだよ。槌谷潤さんの時の葬式の…」