ウラコイ
一人で声を
押し殺して泣いていた。
人に気付かない
ように 気をつかって
「ずっと忘れてたのに最近思い出して…。思い出さねぇの最低だけど…」
―あの子は そんなに強くない。
「…お前を呼んでんだろうよ、なぁ翔太」
「みっちゃんはカメラマンでもあったけど、普通の女だ…」
タバコの匂いがやたら 鼻につく
「…お前も俳優なんかじゃなきゃ、ただの男だ。…」
兄貴は 灰皿に
タバコを押し付けた
「普通の男が、彼女に今しなきゃならない事は何だよ?離れて見守るだけか?」
ジロッとにらまれた
いま 俺が
しなきゃならない事
そんなの簡単だ。