ウラコイ


「『行ってきたら』ってみちるさんが言った時、正直ホッとした。…でもさ」




「それは、…」





手をギュッと合わせた。



「…わがままかもしれないけど。……本当は『行くな』て言って欲しかった…。みちるさんはそういうの一言も言った事ないから、…」







一言も…



言わないようにしてた。



負担になっちゃいけない…



自分の方が年上なんだから、しっかりしなきゃ…






いつの間にか
そんな風に考えてた






「…私がわがまま言わないから、寂しかったの?」



「そうだよ。……だから、授賞式の時は嬉しかった。初めて…頼ってくれたから」







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