彼は彼女にしか笑わない[短編]
そこには1年前に見たときより優しい笑顔だった。


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「ねぇ?」
さっき付き合ったあとから何にも話さなかった玲矢が口を開いた。

「何?」
「お前の髪ほめたやつって誰?」

「へ?」
私は突然の質問に変な返事をしてしまった。

「誰って、玲矢ぢゃん!!?」

玲矢は驚いた顔をしていた。
「俺??」

「そうだよ!入学式の日に玲矢が別れ話してたあの階段下で私が授業サボってたら、
『あんたの髪綺麗な色だね、俺その髪好きだよ』って言ったんぢゃん」

「そうだっけ?」
玲矢はキョトンとした顔で言った。

「そうだよ、私そのときの玲矢の笑顔に惚れてさ~けど玲矢は全然笑わなかったんだよ?」
「笑うのはいっつも彼女に...ずっとね」

私は拗ねる拗ねるまねをしながら言った。

「そっか~、でも今はお前にしか笑わない」
 玲矢はそう言って笑ったあと私に優しいキスを落とした。
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