王子嫌いなお姫サマ☆


どうしちゃったのって―……


そんなのあたしが一番聞きたいくらいだよ……



「家に帰ったら、もうリビングの電気はついてて……ソファーから足が少しだけ見えてたから……寝てるのかなって思って……」



さっきの映像が鮮明に浮かび上がってくる



明るいリビング



いつものソファー




「それでソファーに周り込んだら……ふ、服も…ソファーも……真っ赤で―…」



真っ赤―……



真っ赤な血の色――……



「もういいっ!もういいから!!」


グイッとあたしを引き寄せ、抱きしめる龍


「もう話さなくていい。……1人で怖かっただろ。」


怖かった……


たまらなく怖かった。



どんどん青白くなっていくお兄ちゃんを、ただ見てることしか出来なくて……



「……泣いてもいいよ。雫。もう泣いていいから。」


そんな優しく抱きしめてくれる龍の腕で、あたしが涙が出ないはずがなかった



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