王子嫌いなお姫サマ☆


周りの風の音も、全く聴こえなくなった



「………じょ……冗談だろ?」



この言葉が精一杯だった



だって冗談としか思えない……。


冗談であって欲しかった。


「………ごめん……なさい……。」



何が“ごめんなさい”なんだよ。


謝るなよ……


謝るな……



本当に俺と別れたいみたいじゃないか。



何も言わずうつ向く雫



やめろよ……


やめろ……



俺を見ろよ。



そんな本気みたいな言い方やめろよ。


「雫……」



とにかくすがりたい気持ちで、雫の名前を呼んでいた



「っ!ごめんなさい!!」



涙を流しながら俺にそう言って家に入っていった




「雫!!」



俺の引き止めも虚しく、勢いよく玄関のドアが閉まる



俺はただ、呆然と立ち竦むことしか出来なかった




< 225 / 334 >

この作品をシェア

pagetop