咳払いのあとで
「今のここ」



そう言うと、もう一度その部分を右頬に当ててきた。



「………へっ?」



「似てるっしょ?唇と」



してやったりとニターッと笑う奈津子。



完全にチューされたと思った…。



なんか、くやしい。



いや、そんな事よりも!



「奈津子は昨日の事も口じゃなく指だと思ったってこと?」


「そんな可能性もあるかなーと。アオの反応って面白いから」



がーん。



…………そっかぁ………。



自分で意識してる以上に『先生もしかして私のことを……』って期待しすぎてたことに気付く。



かなりショック。




奈津子の言うとおり、私の反応が楽しみで、からかわれたってこと?



俯いて予想以上に落ち込んでいる私に奈津子は慌てて話出す。



「あっ!でもホラッ!これもただの勝手な私の思い付きだしっ!……ねっ?!少なくとも嫌いだったら触りもしないってっ!!」
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