咳払いのあとで
両手小麦粉だらけで取ろうとして、一瞬躊躇し、手を洗ってエプロンで拭いて受け取る。



「G女短もE短もAランクじゃない!頑張ったわね〜。………あら?」



ニコニコした表情のまま、ある一点で目の動きが止まる。



「K大って…、雅の?」



雅(みやび)とは、私のお姉ちゃん。私と4歳違いのK大2年生。



「う、うん。どんなもんかなーと思って書いてみた」


前回も書いていたんだけど、第一志望の女短が悪かったため、そっちの方まで気がいってなかったみたい。
当時、これはイカンと家族内で大騒ぎになり、ちょうどバイトを探していた秋月先生をお姉ちゃんが連れてきた訳です。運命……。



正直今回は、K大って書いた時にお姉ちゃんの事を思い出しもしなかった事は、言わないでおこう。



「そう。これだけ成績上がった事、秋月君にも言わないとね!……あらら?」



ぎく。



「そういえば、秋月君もK大よねぇ?」



お母さんの顔がニターと意地悪い笑いに変わった。
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