咳払いのあとで
「たっ、たまたまだよっ!」


「……そう?」



真っ赤になっての否定は、暗黙の肯定だ…。



バレたな、こりゃ。



様子をうかがっていると、何事もなかったかのようにコンロの火を点けるお母さん。



否、ちょっと半笑い…。



「まあ、時間はあるんだから、ゆっくり考えなさい。あ、成績表は居間のテーブルに置いててね。お父さんにも誉めてもらわなくちゃ」



低温の油に鶏肉を投入していく。



「……はーい」



居間に移動し成績表を2つ折にして、そっとテーブルに置いたところで、台所から鼻歌が聞こえてきた。



母よ……。
いっその事はっきり聞いてくれ……。



部屋に戻り、着替える前に携帯を開くと受信メール1通。



『昨日聞くの忘れてた。この間の結果っていつごろ?』



先生だ!!



解らないことがあったら、いつでも聞くようにってメルアド教えてくれたんだ。まだ勉強以外で送信したことはないけど。
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