咳払いのあとで
どきどき…する。



顔が火照ってくる。



慌てて目をそらす。



先生なんか見てませんでしたわよと思わすようにコーヒーカップを持って一口。


ばればれだってーの!



「簡単な計算ミス。基本は解ってるみたいだな。でもこれが命取りだぞ」



と、何事もなかったかのように私に近付き「ほら、ここ」とノートを私に向けて間違えた箇所を指差す。



はっぱ、ろくじゅうに……。



九九かーいっ!



「小学生からやり直す?」


先生がニッと笑った。



あぁ、笑顔もステキ…。



(だって…)


「頑張って正解して先生に誉めてもらいたくて、焦っちゃったん……」


だよ。と言い終わる前にハッとなる。



私今、心の声と現実の言葉を逆に言ってしまった。



「………」



ちらっと先生を見ると、きょとんとしてる。



そうか。別に傍から聞けば、なんのことはない台詞だったかな?

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