咳払いのあとで
はあ〜。
先生と同い年ならよかった。



今の人やお姉ちゃんみたいに【秋月】って呼んでみたい……。
実際、先生は私の前だとお兄さんみたいな感じだけど、同い年相手だったら、もうちょっとくだけた話し方だろうな。



………………………。



「あら。秋月、次の時間休講なの?」


「ああ。渡辺は?」


「私もなのよ。また午後からも講義あるし、時間が中途半端なのよね」


「俺もだよ。あ、良かったらメシ食べ行く?」


「いいけど。もちろん、秋月のおごりよね?」


「げっ。今月ピンチなんだよ。社会人なったらおごりまくってやるから、今日は割勘……なっ!」


「その約束、忘れんじゃないわよ〜」



………………………。



みたいな?



えへへへっ、へへ♪。



…………はっ!



い、いかんいかん。いつもの《一人ドリーム》が出てしまった。



現実に戻って、携帯の画面を見つめる。



あんな切り方をして先生に気を使わせてしまった罪悪感でいっぱいになる。



「はぁー〜っ」



思い切り、ため息。
< 24 / 84 >

この作品をシェア

pagetop