咳払いのあとで
知らなかった事実
日曜日。
朝、8時すぎ。
顔を洗ってリビングに行くと、お姉ちゃんが味噌汁を啜っていた。
「うわっ!めっずらしー。お姉ちゃんが午前中に起きてる!」
普段は、平日が課題で忙しいみたいで、休みの日は午後からしか起きてこないのに。
「アオ、まずは『おはよう』でしょ?」
ポットにお湯を入れているお母さんに嗜まされる。
「あ、おはよう!でっ、なになに?何かあるの?今日」
お姉ちゃんはお椀を置いて、お茶碗に持ちかえながら「まあ、座ったら?」と前の席の私の場所を指す。
セミロングのパーマのかかった髪はぼさぼさで、顔もスッピンだけど、ネイルはばっちり決まってる。
「……今日は、デートなの!」
なーんだ、デートか。
……………………。
でえぇえぇえーーーっ!!
「お、お、お姉ちゃん彼氏いたの!?」
「失礼ね!!私だって彼氏の一人や一人や一人くらいいるわよっ!」
いや、それ、一人だから。