咳払いのあとで


そうなんだ〜。一年も前からなんだ〜。



お姉ちゃんってあんまり自分の事を語らないから、全然気付かなかった。



同じ屋根の下にいて分からなかったのがショックだった。



それはお父さんも同じだったようで…



「そ、そうかそうか」と言って、かけていた眼鏡を外してレンズを拭き、かけ直しながら「お母さんは知ってた?」と冷静を装って聞くんだけど、…パパ?……上下逆です……メガネ……。



お味噌汁を持ってきたお母さんは、



「雅からは聞いてないけど、なんとなく分かってましたよ」



と、ニコッと笑った。



お姉ちゃんは「あ、やっぱり分かってた?」とお母さんに照れながら聞いている。



お父さんと私は、あんぐり口を開けて二人を見ていた。



お母さん、なんかカッコいいです…。
母は偉大だ……。


< 28 / 84 >

この作品をシェア

pagetop