咳払いのあとで
そうなんだ〜。一年も前からなんだ〜。
お姉ちゃんってあんまり自分の事を語らないから、全然気付かなかった。
同じ屋根の下にいて分からなかったのがショックだった。
それはお父さんも同じだったようで…
「そ、そうかそうか」と言って、かけていた眼鏡を外してレンズを拭き、かけ直しながら「お母さんは知ってた?」と冷静を装って聞くんだけど、…パパ?……上下逆です……メガネ……。
お味噌汁を持ってきたお母さんは、
「雅からは聞いてないけど、なんとなく分かってましたよ」
と、ニコッと笑った。
お姉ちゃんは「あ、やっぱり分かってた?」とお母さんに照れながら聞いている。
お父さんと私は、あんぐり口を開けて二人を見ていた。
お母さん、なんかカッコいいです…。
母は偉大だ……。