咳払いのあとで
「ところで、アオ?」
「ん?」
大騒ぎも一段落し、卵焼きをくわえたまま、お姉ちゃんを見る。
「木曜日だっけ?秋月と電話で話したでしょ?」
「う、うん…」
先生の声より先に電話越しに聞こえた女の人の声を思い出して、気分が沈む。
「気にしてたわよ〜、秋月」
「……え?」
あの最後のメールで気を使わせたのは分かってたけど、その後も気にしてくれてたの?
「『なんかタイミング悪い時にかけたみたいで悪いことした』って」
…いえ、全然暇でした…。
「でも、電話した時間だったら、あんたもう帰ってきて宿題してるくらいでしょ?」
奈津子と学校で話してたから、いつもよりは遅くなったけど……ごもっともです。
「なんかあったの?」
お父さんとお母さんはテレビを観ながら食事をしてるけど、絶対耳ダンボになってる。