咳払いのあとで
先生は「ん゛っ、んっ」
と咳払いをした後



「はいはい。そんな言い訳してる暇あったら、次の問題行くぞ」



と、パラパラと問題集をめくる。



「言い訳なんかじゃ…っ!」



いやっ!言い訳なんだけども!でも先生に誉めてもらいたくて焦っちゃったのは本当でっ!
深く触れないでもらえたのはありがたいけど、軽く捉えられるのも、それはそれで………って、どうしたいんだ私!?



ひとりでもごもごしていると、ペシッと開いたままのノートがおでこにあてられた。



「いたっ」



視界が塞がれる。



「もう!何する…」と言いかけノートを払おうとしたところで……



頬に柔らかいものが触れた。



暖かい、今まで感じた事のない感触……。



先生は私のおでこから落ちないように押さえていたノートから手を離す。
それはストンと私の膝の上に落ちた。



視界に入ってきたのは、平然と隣で問題集をめくる先生。
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