咳払いのあとで

「な、なにもないよっ!」


「ふ〜ん?」



なんとかこの話題を終わらせたい!
でもお姉ちゃんにそのつもりはないみたいだ。



「な、なんか、電話中に誰かが来たみたいで、邪魔しちゃダメだと思って、切ったの!」



おっ!なかなか巧い言い訳!



「誰か?」


「うん!女の人!先生も隅に置けないねー!彼女かな〜♪」



わ〜…。
勢いにまかせたはいいけど、自分で言っててかなり傷つく。



「………………」



じーっと真面目な顔で私を見るお姉ちゃん。
自分で笑ってる顔が引きつってるのが分かる。



お父さんのお茶をズズーッと飲む音が響いた。



「お母さん」


「はい?」


「なんかアレだね。いっぺんに二人が嫁に行ったような気分だね」


「そうね。二人の旦那さま、楽しみですね♪」


「……。お母さん……」



そんな会話は、二人の時にしてくださーい!



っていうか、今の誤魔化し方で、逆に私が秋月先生を好きなこと………バレてる?

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