咳払いのあとで
先生が指定した英語の課題もあと1ページ。
「……ん?」
最後の1ページの一番下のスペースに手書きの文字。
[お疲れさん]
あまり筆圧が高くない、細長いちょっとクセのある先生の字。
こんなの初めてだ。
ずるい。
自然と顔がにやける。
もーっ、諦められないじゃない。
せっかくケジメつけようとしてるのに。
この問題集、終わっても絶対捨てれない。
もーっ!
ドキドキして、このページの問題が解けないじゃないかーっ!
入って来た風に、ページがめくられそうになるのを無意識に止める。
明日にしよう。
うん。そうしよう。
気付けばお昼前。
終わらせれなかった事を先生にせいにして、出かける準備をする。
家を出るときには、もうお姉ちゃんの気配はなかった。
顔とか髪とか、ばっちりキレイにして行ったんだろうな。
私も、今日はちゃんとメイクして行こう!