咳払いのあとで
「噂はかねがね聞いてるよ。会えて嬉しい」
ニカッと笑う顔が少年のようだった。
「噂ってぇ〜?」
不信感丸出しで、お姉ちゃんを見る。
「私は何も言ってないわよ!秋月よ、秋月」
思いもよらない名前が出た。
「秋月先生…?」
なんで先生が?
「まあ、あなた達、座ったら?」
お母さんが私の分もお茶を入れてくれた。
お姉ちゃん達は元の位置に、私はお誕生日席に座る。
「ご挨拶が遅れましたが、雅さんとお付き合いさせていただいてます、梶村です」
と、お父さんに向かって深々と頭を下げる。
「娘がいつも世話になってるね」
お父さんが優しく言う。今朝はあんなに驚いていたのに、どっしり構えててなんかかっこいい。
なんかニヤける。
お姉ちゃんも嬉しそう。
「今日のお誘い、本当に嬉しく思っています」