咳払いのあとで
え?お父さんから誘ったの?
ちらっとお母さんを見ると
「お母さんが、今日雅が出掛ける前に、お連れしたら?って言ったのよ」
と、笑顔で教えてくれた。
そっか。
さすが《思い立ったら吉日》のお母さん。
と、会話が一段落したところで、さっきの質問の続きをする。
「で、なんで先生の名前が出るんですか?」
「ああ。秋月は僕の高校時代からの友達でもあるんだ。今回の家庭教師の話も、みやちゃ……雅さんから誰かいないかって話受けて、だったら秋月がいいよって。みやちゃ……雅さんも知り合いだったし」
「梶村くん」
お父さんが呼び掛ける。
「はいっ」
梶村さんの肩がピッと上がった。
「言いにくかったら、無理にさん付けでなくていいぞ。普段どおりで呼びなさい」
「あ、ありがとうございます」
女3人で微笑みあう。
なんか、いいな。こうゆうの。
お姉ちゃんがうらやましい…。