咳払いのあとで
お母さ〜ん…。
梶村さんを振り向くと、すでにニコニコしながら、携帯を耳に当てていた。
ぎゃーっ!!
水曜日までにちゃんと気持ちの整理をしておくはずだったのに!
急に今からなんて、どうすればいいの!?
あんな電話の切り方して!
最後に会った日なんて、ほっぺにちゅーされたかもしんないしっ!
あ、これは指でからかわれたって事にしたんだった!
ぐるぐるぐるぐる!
「あ、秋月?俺、俺。今どこ?」
お姉ちゃんが私にウインクする。
「あ、そこなんだ。じゃ、近いな。……あ、俺?ふっふっふっ……あーっ切るなーっ!渡辺さんのお宅にお邪魔させてもらっててさ。で、お前も一緒に晩ご飯どうかって。え?あ、うん。皆さんいらっしゃるよ。え?アオちゃん?」
どきっ!
「もちろん。あ、来る?おっけー。じゃ、ビール宜しくなー。」
ビールの返事は聞かずに梶村さんは電話を切った。
「秋月、なんて?」
お姉ちゃんが梶村さんの服の二の腕あたりをひっぱる。
「来るって♪」