咳払いのあとで
半泣きになりながら、痛いところを押さえて俯いていると、ポンッと頭に手が置かれた。
顔をあげると、先生の顔ドアップ!
「あわてんぼ」
優しい瞳で、ぶつけたところをさすってくれる…。
スーッと痛みが無くなっていく。
「二人ともーっ!早く降りといでーっ」
和室からお姉ちゃんの呼ぶ声が聞こえてきた。
「あ、ありがとうございます!もう大丈夫です!さ、さあ、ご飯です!」
真っ赤になって顔を離し、訳分からないこと口走りながら先にドカドカ階段を降りる。
後ろから先生の笑い声が聞こえて来たけど、恥ずかしくて振り向けなかった。
和室に戻るといろんな料理が並べられていて、お父さんと梶村さんが談笑してる。
お父さんが私たちに気付いて声をかける。
「秋月くん、良く来たね。好きなところにどうぞ」
「今日はすみません。お世話になります」
スマートに頭を下げて、梶村さんの隣に座る。
どうやら、先生は和室に通される前にお姉ちゃんに私の部屋に行くように促されたらしい。