咳払いのあとで


……とは言えず



「どっちがいいか悩んでたのっ!はいっ、お母さんどっちがいーい!?」



と2個共差し出す。



わざとお母さんが両方取ろうとしたので、両手にぐぐっと力が入る。



それを見ていたみんなが笑う。



傍から見れは、やっぱり両方飲みたがってるように見えるらしい。



だから違うの!



結局グレープジュースをお母さんに渡した。



あとでこそっと空き箱洗って、部屋に持っていこう……って、怪しすぎるって!



それから1時間。
お父さんがみるみる酔っ払っていくのが分かる。



お正月にだけ兄弟が集まって呑んでる時のお父さんだ。



でも、それだけ梶村さんと先生に気を許してるって事なのかな。



明日、仕事なのに大丈夫かな?



お母さんをチラッと見ると、楽しそうにしてるお父さんを優しく見ていた。



女ばっかりだから、めったにないこんな日を楽しませてあげたいみたいだ。



梶村さんも真っ赤。
いかにお姉ちゃんが好きかを熱く語って、照れたお姉ちゃんにどつかれてる。



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