咳払いのあとで
「君たち2人になら、娘達を嫁にやってもいいっ!」
何を感極まったのか、お父さんがとんでもないことを言いだした。
ブーッと男性陣がビールを吐き出す。
私とお姉ちゃんは「なんて事言いだすんだ!?」とお父さんを凝視する。
唯一、お母さんだけが「あら、楽しそう♪」とノリノリだ。
先生と目が合った。
恥ずかしすぎて、私からそらしてしまう。
「アオちゃん」
「は、はいっ!?」
先生に呼ばれて、声が上ずる。
「例の成績表、ゆっくり見たいんだけど、いい?」
あ、成績表ね…。
この話の流れで何を言われるのか、ドキドキしちゃった。
って、期待するようなこと、言われるはずがないのにね…。
今はこの場を濁したくないから、彼女がいること黙ってるだけなのかもしれないのにね。
どこまでご都合主義なんだか……私は。
「おお。秋月くんのお陰でアオの成績が上がったんだよ!本当にありがとう」
お父さんが嬉しそうに言う。