咳払いのあとで
真実
部屋に入って机の引き出しから成績表を取る。
良かった。鏡以外は、特に片付けなくていいみたい。
あれ?先生、入ってこない。
ドアまで戻ると、先生は廊下で待ってた。
「入らないんですか?」
成績表を渡しながら聞く。
「バイトの日じゃないのに、女の子の部屋に入るのは…ね」
そんなとこで公私のケジメつけてるんだ。
「あははっ!大丈夫ですよ、先生なら」
「甘くみるなよ。まだ余裕だけど、酒入って多少は酔ってるし。そんな男を女の子が軽がると部屋に入れてはいけません」
「は〜い」
子どもじゃなく、女の子扱いしてくれてるのが、嬉しい。
あれ?だったら、皆と待ってたら良かったのに…?
結局廊下で壁にもたれて座って話す事になった。
先生は手元の紙片を見てる。
「半年前と全然違うじゃん!やったな!」
心から喜んでくれてるのが分かる。
「数学がちょっと低いけど」
う。手厳しい。
「ま、次は大丈夫だろ」
「はい。頑張ります」
「K大も、Bまで持ってきたしな」