咳払いのあとで
「先生、私がK大書いてた事、知ってたの?」
「初めてお邪魔した日に、お母さんが『今の成績です』って恥ずかしそうに前の結果、見せてくれたじゃん」
恥ずかしそうには、余計です。
「第三志望までよく覚えてましたよね」
「そりゃ、自分の学校の名前なんて、すぐ目に止まるよ。ところで…」
先生は私の方をむいて、真面目な顔になる。
「ん゛っ、んっ」と咳払いをした。
「こないだ、ごめんな。電話」
「……あ」
「あとで渡辺から聞いたら、あの時間なら暇してるはずなのにって言ってたから、もしかして俺からの電話が迷惑だった?」
あちゃー…。
完全に誤解させてしまってる。
まったくあの女の人の事は、想定の中にはないみたい。
「俺、電話かけれる口実が見つかって嬉しくて……」
「違うんですっ!あれは………えっ!?」
同時に話出し、言葉がぶつかる。
今なんて……??
口実…?
嬉しくて…?
…え?
…ええ?
「違うの?イヤとかじゃなかった?」