咳払いのあとで
「ぜ、全然イヤじゃなかったですっ!」
先生、顔近いぃっ!
「じゃ、なんで最後あんなに怒ってた?」
先生の顔がさらに近くなってくる。
「あれは……」
目をそらして、うつむく。
「電話の向こうで女の人が、先生呼んだから…邪魔しちゃ悪いと思って慌てて切っちゃったんです!」
朝、お姉ちゃんにした言い訳で、その場をしのごうとしてみた。
しかし、
「アオちゃん…?」
「は、はい?」
「ホントにそれだけ?俺には怒って切られた気がしたんだけど?」
う゛〜。
今日の先生なんか変〜。
なんかちょっと楽しそうだしっ!
あっ!また、からかわれてるんだ!
ちきしょう。
こうなったら、反撃だ!
「先生っ!」
バッと顔を上げる。
鼻先がぶつかりかける。
「ん?」
さすがに話しずらいだろうと、お互い無意識に顔の位置をもどした。
「先生こそ『嬉しくて』って何ですか!?」