咳払いのあとで


もーっ!
彼女の有無、聞けなかったじゃないかーっ!



一人で部屋に戻って、ぷりぷりしながら机に成績表を直してると、



「アオ。いい雰囲気だったじゃなーい?」



と、お姉ちゃんが入ってきた。



膨れっ面で振り向く。



「ごめんってば!」



お姉ちゃんは顔の前で、手を合わせる。



いいけどね。



あのままだったら、心臓保たなかったかもしれないし。



「もう、いいよ。戻ろ」



ドアに向かって行こうとしたら、お姉ちゃんに腕を引かれた。



「お詫びにと言っちゃあなんだけど……。秋月、彼女いないよ」



「……え?」



にっこりお姉ちゃんが微笑む。



これは、からかってる顔じゃない。



と…思う。



「ホント……?」



コクっとお姉ちゃんが頷く。



はあぁあ〜…。
よ、良かったよ〜ぉ…。



これで、また普通にでき……



できませーん!



私に電話かけれるの嬉しいとかっ、髪触られたりとかっ!



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