咳払いのあとで


先生とは裏腹に、私は半泣き。



「なんでですかぁ〜?」


「いや。なんでって言われても…」


「あの電話の女の人とかの方がいいんじゃないですかぁ…?」


「電話の…?ああ。彼女はノート貸してたから、届けにきただけ。あの子、彼氏いるよ?………あっ!」



先生が自分の頭をくしゃっとした。



「アレ!やっぱり怒って切られたんじゃん!?」



あっ!
バレた。



「怒ったってゆうか〜、なんとゆうか〜」



誤魔化そうと、視線をはずす。



「ヤキモチ…て、思っちゃダメ…?」



はい。そのとおりです。



無言で頷ずく。



「そっかぁ。それでかぁ」



先生は空を見上げて、嬉しそう。



あ、も一個聞かなきゃいけないことがあった。



「先生…?」


「ん?」


「ってことは、アレは指じゃなくて口だったんですか?」



傍から聞けば、すごい台詞だったかもしれない。



先生もポカンとしてる。



頭に[?]がポンポンポンと浮かんでるのが見えそう。


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