咳払いのあとで
「本当についさっきなんですが、碧さんとお付き合いする事になりました」
途端に自然と顔がニヤける。
ダメダメ。今ニヤけちゃ!
必死に表情を整える。
でもお姉ちゃんとお母さんも、ニヤニヤしてる。
お父さんは目を見開く。
びっくりしたらそうなる癖は親子だなぁ…と思う。
落ち着く為か、湯呑みに手が伸びる。
「で、それと家庭教師を辞める理由は関係あるのかな?」
ズズッとお茶を啜り、優しい口調で聞く。
「…僕の勝手な言い分なんですが、こうなった以上、バイトとしてではなく、個人的に碧さんの勉強を見ていきたいんです」
お父さんは腕を組んで、まっすぐ先生を見ている。
先生も視線を外さないように、お父さんを見ながら話す。
「彼氏として」
あはぁ…。
なんか、私今すごく幸せものかも…。