咳払いのあとで
現実


次の日。



教室に入ると、奈津子が「やったね!」と、駆け寄ってきた。



「うん!ありがとー」



昨日の晩寝る前にメールで報告しといたんだ。



「返事できなくて、ごめんね。もう寝てたわ」


「全然いい、いい」


「とにかく、ゆっくり聞きたいから、放課後お茶して帰ろ!」


というわけで、今日も無事6限目まで終え、私達は食堂に向かう。



お茶と言っても、食堂の入り口に置いてある自動販売機でパックのジュースを買い、校庭のベンチで飲むんだけど。



「で?で?どんな感じで?」



せっつく奈津子に、昨日のあらましを話した。



「おおー。じゃ、『カテキョ様』も実は気持ち押さえてたんだー」


「そうなるのかな…?」


「そうとしかとれないよ!」



本当に喜んでくれてる奈津子に、私も嬉しくなる。



「それでね。例の『右頬事件』なんだけど…。やっぱり口だったみたい」



なんか照れてしまって、声が小さくなった。



「あ、やっぱり!?」


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