咳払いのあとで
「お前ら、なにエロトークしてんだ?」
目の前にはっせんが立った。
「そんなトークしてません!」
「はっせんこそ、部活中じゃないの〜?」
はっせんこと、私達の担任長谷川先生は、男子テニス部の顧問もされている。
「今、皆外走らせてるから、サボリ中〜」
はっせんは、堂々と言うとペットボトルの水を美味しそうに飲んだ。
「はっせん、そのペットボトル…」
奈津子が目ざとくペットボトルの銘柄と中身の違いに気付いた。
銘柄は明らかにミネラルウォーターなのに、中身はお茶っぽい。
「それ、はっせんがお茶沸かして、冷やして持ってきてるの?」
「まさか!俺がそんなの出来るわけ……あっ」
私達の顔が、ニヤ〜っと意地悪する顔に変わる。
「彼女さんだ!」
奈津子が嬉しそうにペットボトルを指さした。