咳払いのあとで
はっせんの田舎は遠方なので、一人暮らしと聞いていた。
なので…
噂の背の高い美人さんの彼女の存在が、簡単に想像できる。
はっせんは「あちゃ〜」と空を仰ぐ。
でも、困ってるというより、嬉しそう。
同棲…してるのかな?
好きな人と同じ屋根の下に暮らす……。
まだまだ憧れでしかないけど。
ちょっと(いや、かなり)羨ましい!
「アオもねー。昨日彼氏できたばっかりなんだよー」
「ね!?」って、私に向かってニコッと笑う。
「な、奈津子!」
わざわざ言わなくていいってば!
って言おうとしたけど、自分で顔が笑ってるのが分かったので、やめた。
「おおっ!青春だね〜♪名前なんてーの?」
「あき…、名前聞いてどうするんですか?」
話のリズムで答えそうになった。
「おしいっ!名前聞いて、これから渡辺をそれでからかえると思ったのに」