咳払いのあとで
生徒をおちょくらないでください!
「そいや、私も『カテキョ様』でしか知らないや」
あれ?
言ってなかったっけ?
「ね!なんて名前!?」
「秋月…さん、だよ」
私も《先生》なので、改めて名前を言うのは、照れる…。
奈津子が「そんな名前だったんだー」と呟く。
そこで、ハッとなった。
はっせんがニタニタ笑ってる。
はっせんの誘導には引っ掛からなかったのに、奈津子にはスルッと素直に答えてしまった。
こんなヌケてる自分がイヤだ。
「秋月ね…あきづき……《アッキー》と呼ぼう」
はっせんが勝手に先生のニックネームを考えた。
しかも、単純。
《アッキー》って感じじゃないんだけどなー。と、ちと不満に思ってしまった。
奈津子は気に入ったみたいで「私もこれから『アッキー』と呼ぶ!」と楽しそうに言う。
先生に言ったら、どんな顔するかな?
それを考えると、ニヤける。
「ん……?『秋月』……?」