咳払いのあとで


はっせんが腕を組んで、考え込む。



「はっせん?」



気になって呼ぶ。



「なんか…少し前に聞いた名前な気がする…」


「……?」


「ま、気のせいだろ。悪い悪い。気にしないでくれ」



校庭からはっせんを呼ぶ声がする。



すでに部員全員が、外周から帰ってきていた。



「あ、忘れてた。じゃあな!もう暗くなるから早く帰れよ!」



はっせんは、校庭に戻って行った。



「なんだったんだろーね?」



奈津子がはっせんを目で追いかけながら言う。



「……ねぇ」



(なんか気になるなぁ…)



まあ、同じ苗字なんていっぱい存在するだろうし…。



「ま、アッキーとは限らないよ」



奈津子は早速使ってる。



「うん。そだね!」



奈津子のお腹の虫が鳴った。



私達は大笑いしながら、家路についた。



はっせんの言葉を、頭の片隅に残しながら。



< 83 / 84 >

この作品をシェア

pagetop