咳払いのあとで
はっせんが腕を組んで、考え込む。
「はっせん?」
気になって呼ぶ。
「なんか…少し前に聞いた名前な気がする…」
「……?」
「ま、気のせいだろ。悪い悪い。気にしないでくれ」
校庭からはっせんを呼ぶ声がする。
すでに部員全員が、外周から帰ってきていた。
「あ、忘れてた。じゃあな!もう暗くなるから早く帰れよ!」
はっせんは、校庭に戻って行った。
「なんだったんだろーね?」
奈津子がはっせんを目で追いかけながら言う。
「……ねぇ」
(なんか気になるなぁ…)
まあ、同じ苗字なんていっぱい存在するだろうし…。
「ま、アッキーとは限らないよ」
奈津子は早速使ってる。
「うん。そだね!」
奈津子のお腹の虫が鳴った。
私達は大笑いしながら、家路についた。
はっせんの言葉を、頭の片隅に残しながら。