咳払いのあとで
ダメだ。思い出すと他の事が頭に入らなくなる。
いかんいかん。キリッと顔に緊張感を持たせる。



「まともな顔してたらアオはそこそこ可愛いのに。ニヤけると気持ち悪い…」


「……ほ〜う」


「あ、ウソです!アオちゃん、かっわいーっ!」


「気付いてないと思うけど、奈津子私に『気持ち悪い』言うの2回目」


「え?ホント?ごめん。無意識だわ」



奈津子はてへっとわざとらしく肩をすくめたところで1限目の始まるチャイムが鳴り響いた。



結局今日は終わりのHRまで、トリップしたり、我に返ったりの繰り返しだった。都度都度、奈津子につっこまれながら。



そのHRにて、担任が先々週行われた学力テストの結果を配る。



無理だと分かっていながら第三志望で書いてみている秋月先生の通っている大学が、半年前にくらべD→B判定に上がっていた。
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