月と太陽の事件簿11/愛はどうだ
浮気発覚を防ぐには
『まったく、あいつときたら…』
R大学の教務課職員・木村治は心の中で悪態をつきながら、右目の眼帯に手をやった。
朝からやっている事務処理は、午後3時を回っても、まったくはかどっていなかった。
『フライパン投げつけてくるなんて目茶苦茶だぞ…』
そのフライパンが命中した時は、この世の終わりを意識した。
もっともそれで木村が悲鳴をあげたおかげで妻は冷静になって、夫婦ゲンカは収まったわけだが。
しかしフライパンよりもこたえたのは、今朝の妻の顔だ。
一晩中泣き明かしたとみられるその目は真っ赤だった。
『1年目のイブにあれはまずかったよなぁ…』
妻への悪態は、後悔と懺悔の念へ変わっていた。
『でもなぜバレたんだろう?』
木村は首をかしげた。
『名刺が見つかったのは致命的だったけど、その気にならなければ見つからないものだし…』
考えこんだ木村には、教務課の受付に立った学生が見えていなかった。
R大学の教務課職員・木村治は心の中で悪態をつきながら、右目の眼帯に手をやった。
朝からやっている事務処理は、午後3時を回っても、まったくはかどっていなかった。
『フライパン投げつけてくるなんて目茶苦茶だぞ…』
そのフライパンが命中した時は、この世の終わりを意識した。
もっともそれで木村が悲鳴をあげたおかげで妻は冷静になって、夫婦ゲンカは収まったわけだが。
しかしフライパンよりもこたえたのは、今朝の妻の顔だ。
一晩中泣き明かしたとみられるその目は真っ赤だった。
『1年目のイブにあれはまずかったよなぁ…』
妻への悪態は、後悔と懺悔の念へ変わっていた。
『でもなぜバレたんだろう?』
木村は首をかしげた。
『名刺が見つかったのは致命的だったけど、その気にならなければ見つからないものだし…』
考えこんだ木村には、教務課の受付に立った学生が見えていなかった。
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