月と太陽の事件簿11/愛はどうだ
「緒方先生が単位を与える代わりに、彼女に見返りを求めただとか、彼女の方から先生を誘って、便宜をはかってもらったりだとか…」

ろくな噂ではない。

「木村さん自身に心あたりはないんですか」

「心あたり?」

「彼女に対して、木村さんが…ということです」

木村はしばらくキョトンとしていたが、やがてみるみるうちに顔を赤くした。

「な、なにを言っているんだね月見くん!」

今回は右の眉はそれほど上がってはいなかった。

しかしもう、達郎はそのことに関心はなかった。

「失礼します」

達郎は立ち上がって、喫茶室を後にした。

< 15 / 55 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop