月と太陽の事件簿11/愛はどうだ
「先日、卒論で相談したい事があって先生の研究室を訪ねた時の事です」

亜季は緒方教授にコーヒーをご馳走になりながら卒論について会話を交わしていた。

しばらく後、教授のもとへ電話がかかってきた。

教授が電話に出ている間、亜季は何気なく教授の机の上を眺めていた。

すると、あるものが亜季の目にとまった。

「それは手紙でした」

「手紙?」

その手紙はこんな内容だった。

『君の青い瞳は美しく、いつも僕の心をなごませてくれる。

絹のように柔らかい髪の感触は、いつまでも僕の手の中に、君のぬくもりと共に残る…』

「恋文ですか?」

達郎は聞いて思った事を口にした。

「私は驚きました。教授にはもう何十年も連れ添ってらっしゃる奥様がいるのに…」

教授の妻は日本人。

もちろんその瞳は青くはない。

「つまり緒方先生には愛人がいると」

「そう考えられませんか?」

達郎は唇を尖らせた。

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