月と太陽の事件簿11/愛はどうだ
コーヒーを買ったコンビニの前まで来た。

達郎はゴミ箱の中へ空き缶を叩きつけた。

ゴミ箱の前で達郎は大きくため息をついた。

本当に、亜季を責めるつもりなど無かった。

しかし真実を突き止めたことを彼女に告げた事によって、最悪の結果を招いてしまった。

なぜ真実を胸の内に秘めておかなかったのか。

自分という男はこんなにも不器用だったのかと思った。

やはり探偵という生き方を長く続けてきたせいだろうか。

真実を突き止めたら言わずにおれない性分になってしまったらしい。

いやそれ以前に探偵でなかったら、亜季と出会うことも無かったろう。

イブにキャバクラに行ったことがバレて妻に大目玉をくらう男もいれば、クリスマスに涙を流す羽目になった女もいる。

さしずめ自分は探偵になったばかりに最悪のクリスマスを迎える事になった男か。

達郎は唇を噛み締めた。

その時、携帯が鳴った。

ディスプレイに表示されたのは、よく知った名前だった。

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