月と太陽の事件簿11/愛はどうだ
「どうしました。心の準備でもしますか?」
「そうじゃない。一つめということは、僕は幾つもの失敗をやらかしたのかい?」
「そんなとこです」
そんな身もフタもないことをと思ったが、相手はその名を知られた探偵である。
木村は覚悟を決めた。
「わかった月見くん。聞かせてくれ」
達郎は再びメモに目を落とした。
「まず帰りに花束を買った事ですね」
「花束を買ったのがまずかったのかい?」
「花束を買ったこと自体は別にいいんですが、問題は買った場所です」
「場所?」
「花束にクリスマスカードがついてたんですよね。営業のために店名や住所、電話番号は書いてありませんでしたか?」
「…書いてあったような気がする…」
「それはまずいですね」
「え、でも…」
「キャバクラがあるような場所には当然、奥さんは行かないでしょう。見慣れない、聞き慣れない店名や住所を目にしたら、怪しむのは当然です」
木村が買ってきたのは単なるバラの花束。
「そうじゃない。一つめということは、僕は幾つもの失敗をやらかしたのかい?」
「そんなとこです」
そんな身もフタもないことをと思ったが、相手はその名を知られた探偵である。
木村は覚悟を決めた。
「わかった月見くん。聞かせてくれ」
達郎は再びメモに目を落とした。
「まず帰りに花束を買った事ですね」
「花束を買ったのがまずかったのかい?」
「花束を買ったこと自体は別にいいんですが、問題は買った場所です」
「場所?」
「花束にクリスマスカードがついてたんですよね。営業のために店名や住所、電話番号は書いてありませんでしたか?」
「…書いてあったような気がする…」
「それはまずいですね」
「え、でも…」
「キャバクラがあるような場所には当然、奥さんは行かないでしょう。見慣れない、聞き慣れない店名や住所を目にしたら、怪しむのは当然です」
木村が買ってきたのは単なるバラの花束。