ふたつの雪だるま
「やっと言った。」


「……もう言わない。」


「はいはい。相変わらずわがまま紫帆さんだ。」


わがまま……かな。


「我慢しすぎってのも結構なわがままだぞ?はらはらすんだからな。」


そう言うと、まぁくんは手にしていた小さな箱を差し出した。


「ほい。綺麗って言うから持って帰ってきた。開けてみな。」


「おみやげ?」


「ん。ほら、早く早く。」


急かされながら、頑丈に張られたガムテープを外す。

小さな発泡スチロールの蓋が少しだけずれた瞬間、冷たい空気が流れてきた。


「え………まさか……?」


ほら、早く。と顎をしゃくるまぁくん。

そっと蓋を開けたそこには、小さな銀世界が広がっていた。



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