ふたつの雪だるま
そのまま近付いてくる影。


瞳を閉じてもしっかりと写し出される二つの雪だるま。


手の冷たさとはまるで別の暖かさをくれる影。


「あ…………言っとくけど、雪だるまん中見ても何も出てこねぇから。流石にそこまで時間無かったわ。」


いらない。

まぁくんが側にいてくれれば何もいらない。








これって、一番凄いわがまま?



大切に冷凍庫に入れた雪だるま。


「ガキじゃあるまいし。」


って笑うけど、今度寂しくなったら、この子たち見て元気になる。


「寂しくなる前にちゃんと捕まえに来ますから。心配しなくてよろしい。」


頭を撫でながら笑う。

さっきまでの憂鬱はもういない。

だから、わがまま言うよ。

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