七夕に降る雨
ごめんな、茉莉。


「雨、降れば良いな。」


空を見上げて呟いた茉莉。

今年の七夕まであと一週間。


「雨?」


「ん。雨降ったらさ、涼しくなるじゃん。」


「七夕、晴れた方が良いんじゃねぇの?」


「七夕ねぇ。別に良いんじゃない?」


「晴れないと逢えないじゃん?」


「…………逢いたいのかな?」


「茉莉?」


「ま、逢えたって逢えなくったって私には関係ないしね。さ、帰ろっかな。」


「泊まってかねぇの?」


「うん。帰る。和巳、仕事持って来てんでしょ?」


部屋の片隅のパソコンを指差した。


「まぁな。でも…」


「明日さ、恭代とバーゲン約束してんの。じゃあね。」



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